限界自治夕張検証―女性記者が追った600日新聞記者が関係者や市民へ徹底取材の結果をまとめた書籍。
地方自治財政の素人である記者だからこそ、一般人の視点で、一般人にも分かりやすく書かれているのは好感が持てる。一方、自治体関係者から見れば、記者の勉強不足感が否めない。
タイトルにある「検証」というには、分析・調査不足に思える。むしろ「取材メモ」という方が適当なタイトルだと思う。だからこそ、記者の感想や主観が少なめで、「誰それがおう言ってました」をまとめたモノに思える。しかし、そういった多数の関係者・市民への取材は他の夕張関係書ではなかなかされていないため、有益な資料だろう。
ただし夕張の今を知るには、本書だけでなく、他の本を合わせて読むことをオススメします。
「検証」というからには、自治体財政の基本、他の自治体の状況を調査・検証し、違法会計をしていたのであれば、本来どうすべきだったか、仮にそうした場合、現在とどう違ったか、そして今後夕張がどうなっていくのか?などなど、いろんな視点で描いて欲しかった。
それはノンフィクション作家がすべきことであり、新聞記者の仕事ではないのかもしれないが。
地方財政健全化法で財政破綻は阻止できるか―夕張・篠山市の財政運営責任を追及する (地方自治ジャーナルブックレット No. 46)遅ればせながら夕張の財政破綻に興味を持ち、
手に取った数冊の内の一冊。
ニュースや新聞から受けた印象では、
夕張の財政破綻は市の乱脈経営が最大の原因だと思っていた。
具体的には、炭坑閉山後の後処理対策がうまくいかなかったこと、
レースイスキー場やホテルシューパロの失敗が挙げられる。
またそれらの赤字を粉飾し、先送りしてきたのも事実であり、
その点で夕張市は責任を逃れられない。
しかしいくら粉飾したとはいえ、財政規模約40億円の市が
632億円もの債務を抱えるとはどういう状況なのだろうか。
市にも当然監査役がいるだろうし、北海道も「北海道産炭地域振興センター」を
通して基金を提供してきた以上、把握し得る立場にあった。
つまり国や道の指導のもとに、リゾート開発等の炭坑閉鎖後の町づくりを
行ってきたという経緯があるのである。
それが、急に手の平を返されたかのような財政破綻。
縮めて言うと、これは小泉内閣が進めた「三位一体の改革」の
影響によるものという。
地方交付税任せの市町村が、突如としてその庇護から切り離され、
その衝撃をまともに受けてしまう。
世間的には「乱脈経営」「ヤミ起債」などと叩かれるが、
国策の犠牲(みせしめ)という一面も見受けられる。
夕張市の財政データが豊富に用意されているが、
この値段(1429円)にしてはページが少ないと思ったので
星3つとした。
朝日新聞の夕張報道全記録 (1)夕張が破綻するずっと昔、炭鉱が閉鎖され「炭鉱から観光へ」という政策に突き進む中田市長(当時)を描く。この本は単なる市長個人への「応援メッセージ」に過ぎない。客観性も、市財政の分析も、他の炭鉱街との比較も何もなく、市長をひたすら賞賛している。それはまるで「教祖」を崇め奉る「信者」のようでもある。
市長は、SF映画のような壮大なロマンを語り、国や県から補助金を「おねだり」し、その金で無謀な開発へ突き進む。
「無謀」で「壮大すぎる」計画も著者曰く「大胆」。「おねだり」も「政治力」として市長の手法に賞賛を贈る。
このように、恐ろしく偏った内容であるのは、市長やその周辺からの取材のみで書かれているからだろうか。あるいは、著者自身が市長の語るロマンに魅了されたからだろうか。
地方自治体財政や他の炭鉱町、観光に力を入れている自治体などへも取材・調査をして、より客観的・多角的な視点があれば、一冊の本として読むべき内容になっただろうが、タイトルどおり、それを期待してはいけない。単なる「応援メッセージ」である。
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